今では無い時 ここでは無い所 一応剣と魔法が活躍するファンタジーな世界と言う表現が一番正しい場所
 もちろんドラクエやFFに出てくるような、スライムやゴブリンのような魔物が人を襲い、洞窟の奥底には金銀財宝が隠されてたりします
 この世界には幾つかの国が存在しますが、大陸中央に存在する宗教国家「聖地」の外交努力も有って、すぐさま戦争と言う険悪な仲どころか、かなり仲良しだったりします
 そしてその聖地のさらに中央に存在する学校・彩井(あやのい)学園…… 元々ここは王侯貴族や騎士に仕えるメイドや執事を育成するための学校でしたが、学園の財政難やら各国の人材難やら様々な事情があり、今は様々な人材を育成する教育機関となっています
 そしてその入り口で、その学校の中を見ている二人の女の子がいます どうやら数日後にこの学園に入学する子たちのようです

「ふわぁ……!体験入学の時も思ったけど、やっぱり凄く広い……!」
「ホラなずな!早く入寮手続きしよ!空や如月達もきっと終わらせてるよ!」

 圧倒されるような声を上げる女の子は凄く大人しそうな雰囲気 ミニスカートが主流のファッションの今現在に珍しいロングスカートを上手に着こなしてます
 その女の子の手を引いて、これから住むであろう寮に行こうとする子は凄く元気そうな女の子 服装もその明るい印象を与えるもので、腰には長剣が携えられてます

「学校があんなに広いってことは、寮も凄く広いんだろうねぇ……」
「そうみたいだね 学校もそうだけど、寮も聖地が管理してるんだって 管理人の人はみんな彩井学園の卒業生だって!」
「へぇ……やっぱりME科卒業なのかなぁ……」
「なずな!ME科卒業じゃないからって、料理が出来ないってのは偏見だよ!私も一応KN科だけど、料理は一応勉強してきたんだから!」
「ご、ごめんなさい、乃莉ちゃん……」

 元気な女の子……岸根乃莉の主張に、大人しい女の子……美空なずなは思わず謝ってしまう しかしなずなは心の中で「勉強はしてきたんだ……」などとツッコミを入れてしまっていたりするのだが(笑)

「えっと……私たちの寮はME科卒業生の御手洗(みたらし)杏子(あんこ)さんと、TH科卒業生の相楽美佐枝さんだって!」
「いい人だといいね〜」
「そうだね!」

 そんな二人の前に、学校程では無い物の、大きい建物が見えてきました たくさんの生徒が住む寮……通称「ひだまり荘」が……


  ひだまりメイドラプソディー 第一話 入寮!

 
「ME科美空なずなに、KN科岸根乃莉ね……確認したわ!二階にある203号があなた達の部屋よ 四人部屋で二年生が二人いるから、色々教えてもらいなさいな」
「「はい!」」

 ツインテールの女性から寮の地図をもらった二人は、早速その部屋に言ってみることにします
 その部屋をノックして入ろうとしたら、その戸が開いて、なずなは思いっきり鼻をぶつける羽目になってしまいました

「あれ?何かにあたっちゃった……? って、人にぶつかっちゃった!大丈夫〜?」
「いたた……はい、大丈夫です〜」

 出て来たのはちょっと大きくて元気そうで天然そうな女の子 どうやら彼女が同室の二年生らしい

「えっと……医務室、行く?」
「い、いえ……えっと……」
「んあ?あぁ、あたしTH二年の小鳥遊(かたなし)宮子!君らが美佐枝さんの言ってた乃莉っぺになずなちんかな?」
「乃莉っぺ……」
「なずなちん……」

 宮子の呼び方に少々微妙な顔をする二人でしたが、案内されて部屋に入れてもらう事にします

「もう一人のゆのっちは美佐枝さんに頼まれごとがあって今いないけど、ようこそようこそだよ〜♪」
「はい!」
「ありがとうございます、小鳥遊先輩!」
「あたしの事は宮子でいいよ〜 二人の事もなずなちんと乃莉っぺって呼ばせてもらうから〜♪」

 ニコニコと陽だまりの様な宮子の笑顔に、なずなと乃莉も、思わず笑顔になってしまいます

「宮ちゃん!一年生の二人、来た〜?」
「うん!来た来た〜! なずなちんに乃莉っぺ!こっちが一緒の部屋のゆのっちだよ〜♪」
「もう、宮ちゃんったら……えっと、乃莉ちゃんになずなちゃんだよね?私はME二年の川澄ゆのって言うの 宜しくね♪」
「さてさて、簡単な自己紹介が終わったところで、ここ彩井学園の事を簡単に説明させてもらいます〜!はい!ドンドンパフパフ〜♪」
「「ど、ドンドンパフパフ〜」」
「ここは様々な道のスペシャリストを育成するための学校なのだ!元々あったメイド・執事育成科(ME科)の他に、トレジャーハンター科(TH科)、金属加工科(BS科)、魔術専門科(MC科)、騎士科(KN科)の四つがあるのは二人とも知ってるよね?」

 宮子の言葉に、一年生二人は「うんうん」と素直に頷きます この彩井学園に入学する人間なら当たり前な知識だからです

「こっからが重要!この学園に来てる人の大体15人から20人に1人の割合で変人・奇人が含まれてるんだよねぇ……ある意味個性的と表現してもいいんだけど」

 宮子の説明に、思わず目の前の人間の存在で「あー」と納得してしまうなずなと乃莉です 宮子もかなり「個性的」な女の子に見えたからです
 その表情に気付いたゆのがそのフォローをしようと思いましたが、あっさり諦めることにします 一年間彼女の親友をやっていたゆのに宮子のフォローは出来なかったからです

「さて、もうそろそろご飯の時間だね〜 案内は明日にして食堂に行こっか♪私たちがお世話になってる人も紹介したいしね〜」
「「は〜い♪」」

 元気に返事する二人に、宮子は満足そうにうなずくのでした


「あ、ゆのさんに宮ちゃん!こっちこっち!」
「あれ?紗英さんは?」
「うん……最後の追い込みだって そちらの二人が、乃莉ちゃんになずなちゃんね?私はME3年の真田ヒロよ よろしくね?」
「「は、はい!」」

 柔らかい笑顔を向けるヒロに、なずなと乃莉は「優しそうな人だなぁ……」と思ったその時でした

「きゃぁ――――――――!!!!」

 女の子の悲鳴が上がりました しかしその声は、誰かに襲われたと言うよりも、カッコいいアイドルを見つけた時の黄色い声と言った方が正しい声でした

「なずな!今のって……!」
「う、うん……この声は多分……!」

 その声にここ当たりがあったなずなと乃莉は、とりあえずその現場に向かってみることにします そこには何と……

「可愛いですぅ―――――!!!」
「ギヴ……ギヴ……」

 妙な声を出してる猫を抱きしめて「可愛い」を連呼するなずなと乃莉の友達でもある「山口如月」がいたのでした

 次回に続く

 あとがき
「メイドななずなをもっと書きたい!」……そんな気持ちが形になったクロスSS……それがこのSSです 完璧ほのぼのギャグですね
 一部名字の無いキャラがいますが、とりあえず付けてみました 名前の方が無いキャラ(友兼とか魚住とか)も順次付けてみようと思います
 しかし杏子さんの名字が御手洗(某ナルトの人物と同じ)なのは色々とまずかったか……?と思ったり

inserted by FC2 system