「何なんだ、このカオス空間は……」

 仕事からの帰り道、この俺は古河パンに立ち寄った時に妙な空間を目の当たりにした
 オッサンが変な兄ちゃんと一緒に鯉のぼりを設置する棒の上で「いやっほぉぅ〜〜〜〜〜い!」と叫んでいる
 その下ではポニーテールで猫を頭に載せた女の子が「何やってんだこのアホ〜!」と叫んでいる 何て言うか激しく気持ちが理解できる
 女の子を羽交い絞めしてる小さい男は「言っても無駄だからもうやめとこ!」と女の子を抑えている まぁ、気持ちは分かるが……
 その近くでは筋肉ダルマと帽子とマントの女の子が「筋肉筋肉〜」と叫びながら腕を左右に振り回してる 何なんだ、アレは
 このカオス空間が楽しいのか、汐は「キャッキャ」と楽しそうな声をあげている

「あら、朋也さん どうかなされましたか?」
「あぁ、早苗さん」

 いつの間にか早苗さんが俺に話しかけていた このカオス空間に対するスルーっぷりは見事としか言いようが無い

「アレ……なんですか?」
「秋夫さんが知り合った、恭介さんと言う人です どうも就職活動のさなかに秋夫さんと出会ったみたいです」

 どっちにしろあの二人がこのカオス空間の原因であるのは確かか

「そんなことより、もうすぐ子供の日なんですね 汐がなんか楽しそうなのはある意味救いか」
「そうですね 騒がしいのは嫌いではありませんが、ちょっと騒ぎ過ぎかもしれませんね」


  5月5日 小さき破壊者達と早苗パンと

 
「それはともかく皆さん、新作パンの試食を皆さんにお願いしたいのですが」

 オッサンといつの間にか仲良くなっていた「リトルバスターズ」なる連中と一緒に古河パンに入ると、いの一番に早苗さんが言った
 その言葉に顔をひきつらせたのは俺とオッサンと渚、そして恭介というオッサンと一番仲のいい男だった

「あの……コンセプトは?」
「もちろん鯉のぼりです! 材料に柏餅を使ってみました!」
「かっ……!」

 早苗さんの言葉にちっこいけどまともそうな男理樹の顔が引きつる 分かるぞ その気持ちは激しく分かる
 リトルバスターズの中じゃ一番まともそうな面してるからな

「つ、つまりそれを食べれば子供でも筋肉質になってたくましくなるって寸法だな!?」
「オッサンオッサン、テンパリ過ぎて何を言いたいのか分からない」
「筋肉……」

 呟きと共に俺の後ろから出てきたのは正に筋肉ダルマと言わんばかりの体を持った男だ こいつは確か真人とかいう奴だったな

「く、食ってみていいのか!?」
「はい、どうぞ どんな感じか教えてくださいね」

 差し出されたパンを真人が一口食べてみると……まさにひゅ〜〜〜ドスッと言う効果音が聞こえそうな倒れ方をしやがった
 唐突な展開に、理樹とクドと呼ばれる女の子が真人に近寄って体をゆすってみる 恐るべし早苗パン

「さ、早苗!こんな非常識とんでもパンを俺達に食わせようとしたのか!?」
「わ、わ、私のパンは……」

 あぁもう いつもの黄金パターンか……

「私のパンは非常識で飛んでも無かったのですねぇ――――――!」
「俺はッ!大好きっ……グフぅ……」

 飛び出した早苗さんをオッサンがいつもの如くパンを加えながら飛びだそうとした……が、途中でオッサンが倒れてしまった

「オ、オッサァァァァァァァァァ!」
「おおお、お父ッ!」
「このパン……凄いね……」

 思いっきり動揺しまくる俺と渚の近くで理樹は冷静な一言を呟いている
 そして理樹は籠の中に一杯ある中の一つを手に取ってみる

「りりり、理樹!食うのは止めとけ!下手するとオッサンや真人みたいになるぞ!」
「でも、怖いもの見たさ、と言うのが……」
「気持ちは分かるが、マジで止めとけ!」
「あの〜井ノ原さんとあっきーさんの治療が先な気がします……」

 グダグダなカオス空間の中、クドの冷静すぎる一言が古河パンに響いていた

 その後、早苗さんが古河パンに戻ってきたのは三時間経ってからだった オッサンに追っかけてもらえなかったのか、完全に涙目だった
 リトルバスターズの面々は夕飯も食べて行くことになったが、早苗さん作と知るや否やビクッと体を震わせたが、各々が一口食べてみると次々と箸が進んでいった
 恭介が「鈴も少しは見習え」と言うと思いっきり蹴られていた
 汐はリトルバスターズの中でも真人に懐いていて、大きな腕に何度もまとわりついていた
 オッサンはそれを見て殺意のオーラを送っていたが、俺が新作パンを口に頬り込むと暫く黙っていてくれた
 後にオッサンがリトルバスターズと野球の勝負の約束をしたが、そこの所は……まぁどーでもいいだろう

 終わり

 あとがき
 子供の日の記念として適当に書いてみましたが……なんっつーか完全にグダグダですね
 プロットもある程度考えずに適当に書くとどうなるか、分かった気がします

inserted by FC2 system