「んふふ〜♪ パーティーパーティ〜♪」
「楽しそうだな、フィーナ」
「ええ、それはもう♪」

 この日は12月24日 全国的にクリスマスイブである
 日本人にとってはキリストの誕生日であろうとその前日だろうと、ただパーティをして皆で騒ぐための口実でしかないのである(笑)
 その空気が(ある意味)外国人であるフィーナにも伝わってるのか、某小さい国語教師の如く楽しそうにスキップしていたりする

「今日はミアお手製のケーキを好きなだけ食べられるのよね〜♪」
「ヲイヲイ」

 恋人の微妙な勘違いを正そうかどうか……その思案をしていた達哉に、あるものが見える
 それはクリスマスだと言うのに、最後の足掻きをしまくっているクラスメイト・竹田であった
 その達哉の視線に、フィーナも気付いたのか、今までのご機嫌な顔から一転、少々不機嫌な顔になって行った

「達哉、アレ殴っていい?」
「いや、暫く様子を見よう」

 竹田を「アレ」扱いしたフィーナをとりあえず無視して、とりあえず達哉は電柱の陰に隠れることにした
 その距離からは竹田と女の子がどんな会話をしているかは分からないが、暫くしてから二人がスーパーの中に入って行った

「……何故にスーパー? 普通この展開だと喫茶店とかレストランじゃない?」
「ああ……竹田もそうだが、あの女の子の神経が理解できないな」

 考えても埒が明かない……そう思った二人は竹田と女の子を追いかけようとしたが、すぐにその二人が店から出て来たのである
 女の子の方を見ると、そのスーパーの袋を持っていている そこから出ているものを目を凝らして見ると、それはどうやら駄菓子の類のようであった

((もしかして竹田は駄菓子をたかられた!?))

 二人の背中には正に「ガ―――ン」と言う文字が現れたような表情になっている
 そんな達哉とフィーナの気持ちをよそに、竹田はさらに女の子を口説き続けようとする
 暫くすると、女の子の方の表情がだんだん不機嫌なものに変わっていく
 竹田はその顔に気付かずに、さらにたたみかけようとするが、不機嫌な感情のバロメーターが最高に達したらしい女の子は、ついに竹田の顎にアッパーをかましたのである
 殴られた竹田は、宙を舞い、ドサッと言う効果音と共に地面に叩きつけられたのである
 女の子はさらに竹田に近づき、その顔を思いっきり踏んづけると、すっきりしたような表情でその場を立ち去ったのである

「……達哉」
「どうした?」
「クリスマスって、ナンパする人が酷い目に会う日なのね」
「いや、それは絶対違うからな」

 思いっきり勘違いしたらしい恋人の言葉に、ちょっとだけ頭を悩ます達哉であった(笑)


    お姫様の暴走学園生活 クリスマス編 当日編その1
 


「ミア、コレでいいかしら?」

 そんなこんなで色々買い物を終わらせた達哉とフィーナは、今や朝霧家のメイドと言っても過言でも無い月のメイド・ミアに確認をお願いする

「ええ、大丈夫です ありがとうございます!」
「それで、ケー……ゲフンゲフン……他の料理の方は大丈夫?」
「フィーナ、素直だなー」
「はい、早苗さんと左門さんが一緒に作ってくれたのですが……その……菜月さんも一緒だったので……」

 ミアの言葉に達哉は青ざめた表情でテーブルを見る その料理の大半はクリスマス用のおいしそうな料理であったが、幾つかがあからさまに失敗作と分かる黒い料理があった

「つまり仁さんは菜月をからかって、しゃもじで殴られて戦線離脱って訳か?」
「は、はい……申し訳ありません……」
「ミアが謝る事じゃないさ 悪いのは全部菜月をからかった仁さんだ うん」

 言葉と共に達哉はミアの頭を優しく撫でて上げる それでミアはあっさりと笑顔になって、達哉から渡された荷物を台所に持っていったのである

「まったく、仁さんはしょうがないよなぁ……」
「達哉」
「どうした?」
「ミアの頭は撫でて、私の頭は撫でてくれないの?」
「え?」

 フィーナの一言で、達哉は改めてフィーナの顔を見ると、あからさまにフィーナは拗ねた表情になっていた

「まったく、フィーナもしょうがないな」
「だって……」
「よしよし、フィーナは可愛いな〜」
「お二人とも、変な所でラブシーンはおやめくださいね〜♪」
「「へ……?」」

 声のした方を向くと、デジカメを片手にいい笑顔の翠とみさおが立っていた どうやらいちゃいちゃしていたのを撮影されていたようだ

「遠山……日下部……それなんに使うつもりだ?」
「んー……ドラマ撮影?」
「翠さん、何故疑問形なの?」
「まぁまぁ細かいことは言いっこ無し無し!須尭君と田中君は?デート?」
「隆史はな……雨情は美術部の方に行ったぞ なんか春日野先生がワガママ言ったらしい」
「須尭も大変だな……あやのもデートだって 柊は家族と一緒だってさ」
「そういえば柊の家は神社だって言うけど……そー言うのもやるのか……」
「柊は子供のころ、クリスマスプレゼントをもらったって言ってたぞ」

 みさおの言葉に達哉は純和風の部屋にサンタの格好をしたオッサンが入ってくる物をイメージし、少しだけ噴き出しそうになった
 もちろん柊姉妹の部屋は和風ではなく、洋風なのだが、達哉は神社と言うワードだけで柊家の部屋が和風と言うイメージを持ってしまっていたのである

「料理の準備が出来ましたよ〜!」

 そんな中でミアの声がリビングに響いたのである
 朝霧家のクリスマスパーティはここに来た人間がいつの間にかあったワインで皆が酔っ払って眠るまで続きましたとさ

 次回に続く

 あとがき
 はい 本格的なクリスマス編となりました 最初は主人公的なポジションに置きたいフィーナからです
 竹田の扱いが悲惨な気もしますが、これは仕様です

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