「さて、とうとうテスト返却の日が来たのだけれど」

 テストが終了した次の月曜、フィーナは席について近くにいる友達にこう前置きした

「このクラスで赤点になる人間が出るかどうか、賭けをしてみない?」
「フィーナ……それ賭けになんないからな?」
「つか竹田がいるのを確認してそーゆーこと言うその神経、フィーナも持ってたのな」
「そう、隆史は竹田が赤点取るのに賭けるのね?」
「いや、人の話聞けよ」

 フィーナのボケ発言にどう対処しようかと思いつつしっかりツッコミを入れる隆史だが、フィーナの発言にちょっとだけ泣きたくなる

「始めるぞ〜」

 そんなこんなとバカな事をやっていると、担任の桜庭が入ってくる
 その時隆史は悟る 成程、担任が来るまでフィーナを無視しときゃ万事オッケーだったのか、と…… 


 お姫様の暴走学園生活 期末テスト 本番二年生サイド


「で、今回は?俺は……」

 その隆史の一言に、彼の近くにいたフィーナ、達哉、雨情、かがみ、みさお、あやのの6人はゴクリ……と唾を一旦飲むことになる

「数学が70、古文が57、科学が55、英語が60だ 進路が進路だけに数学がもうちょっと欲しかったが」
「私はそれぞれ80に67、70、88よ 今回はちょっと調子が悪かったわね 古文はしょうがないとして」
「俺は数学77に古文70、科学70だ まさか英語で90を取れるとは思わなかった」
「俺は今のところ全部90越えだ 英語は朝霧と同じだ」
「あたしも須尭と同じく全部90オーバー、日下部と峰岸は?」
「私は古文が60で、それ以外須尭君や柊ちゃんと同じ 田中君の言う通り、テストの後に文章を読めば良かったわ……」
「そんなぁ……あたし古文であやのに負けてるよぉ 補習だし……英語もだけど 他二つは55だった〜」

 かなり残念そうなみさおを慰めていると、彼らは一つの事実に気付く そー言えばこのクラス一番のおバカはどんな結果なのだろう、と
 ちなみに点数は上から隆史、フィーナ、達哉、雨情、かがみ、あやの、みさおとなっている

「おーい、竹田ぁ!今回はどーだったよ!」

 7人を代表して隆史が彼に聞いてみると、竹田はビクリと体を震わせる
 そして手に持っていたテスト用紙を机の中に隠してしまう

「その態度、怪しいなぁ……まさか今日返してもらった教科、全部補習だとか?」
「そ、そ、そ、そんな事ないだろ?」
「まぁ、そーだよなぁ……毎日毎日女の子と遊んでたお前は相当自信があったんだろ?全教科100点に決まってるよなぁ?」
「隆史、顔が意地悪いわよ ……わかってる癖に」
「まぁ、そーだけどさ」

 フィーナに答えつつ、隆史は手を竹田の方に向ける
 その態度に観念したのか、竹田はテスト用紙を隆史に手渡す

「……数学が50、古文が29、科学が36、英語が30……か 確か今回は補習回避が全教科一律50だから、数学以外全部補習だな」
「……あたしだって古文も英語もギリギリ補習ラインの48だってのに、こいつバカだ!」
「日下部、どっちにしろそれは補習だからな」
「そーだけどさぁ……」
「ま、同じ補修としてこいつと一緒くたにされることに関しては同情する」

 ちょっと涙目になっちゃっている操の肩をぽんぽん叩いて慰めてあげる隆史
 その隆史も竹田の情けなさにちょっと涙目だったりしている

「しかし竹田、お前、マジでこのままでいいのか?いや、俺もこのままじゃ大学がちょっとヤバいのは事実だが」
「なんだよぉ、朝霧ィ、そんないい点取ってさぁ」
「達哉、こいつもしかしてマジで言ってる?」
「結構本気で言ってるわね」

 竹田の表情と言葉で他の七人は同じ事を確信する
 竹田は月のお姫様と結婚できる達哉が、王様になったら豪勢な料理と楽しくおかしい生活が待っているんだ、と信じている事を

「こんなんだから、こいつは何時も赤点だったんだな」
「あたしももうちょっと真面目に勉強しよ……」
「そーだな 頑張ろ」

 目の前でバカな表情をしている竹田に、ちょっとだけ真面目な決意をする隆史とみさおだった

 次回に続く

 あとがき
 今回ラストはちょっと真面目な方向に 昔読んだ小説に「王様は所詮雑用係」的な表現があったのを思い出しました
 でも王様とか貴族とかお金持って、真っ先に贅沢な料理とかそーゆーの、思いつきますよね?

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