テストが終わり、教師にとって通知表作成と共に二学期最後の仕事であろう期末テストの採点の真っ最中に突入した

「ふぇ〜……採点大変ですねぇ五十嵐先生……」
「大変だよねぇ……ホント誰がテストなんて作ったんだろ……」

 心の底から面倒だと言わんばかりにみかと五十嵐がため息をつく

「みんな、頑張ってるねぇ」
「あ……ヨーティア先生」
「あぁ お疲れさん」

 やや重苦しい雰囲気の中、ヨーティアが明るい声で職員室に入ってくる 手には大きな袋が入っており、その中にはジュースが入ってる事を予想されるふくらみがある

「この大天才にかかればテストの採点なんか一瞬だからねぇ みんなにジュースをふるまってやろうと思ってさ」
(((((違う!ヨーティア先生の場合クェド・ギン先生に採点を頼んでるから暇なだけなんだ!!))))

 美しい外見とは裏腹な豪快な笑を見た教師陣は心の中で総ツッコミを入れてしまう

「ヨーティア先生」
「はい?なんですか?校長」
「どうやらクェド・ギン先生は忙しそうですからね……どうです?ジュースのお礼も兼ねて私の車で送りたいと思いたいのですが……」
「お!?良いんですか?有難い話ですねぇ」

 それではキーを取ってきますので、先に駐車場で待っていてください……と言って校長室に入る校長を見送ると、教師陣はヨーティアを見やる

「……いいのか?ヨーティア」
「何がだい?クェド・ギン 校長がやましい気持ちで言った訳じゃあるまいに」
「……まぁ、いいがな」
「「「「……良いですけどねぇ……」」」」

 用心深いクェド・ギンの言葉に同意したのは校長に説教されるランキングトップ4と言うべき吉野家・春日野・五十嵐そしてゆかりだった

「なんなんだい?アンタら……感じが悪いねぇ」
「おや、ヨーティア先生、まだ職員室にいたのですか」
「え!?あ、ハイ!そ、それじゃあ、行きましょう!」

 そしてとうとう職員室から出て行った校長とヨーティアだが……激しく嫌な予感を持ってしまう教師一同であった


  お姫様の暴走学園生活 期末テスト テスト採点編


「おはようございます……」

 次の日の朝、ガヤガヤとした雰囲気の中、あからさまに暗い声が響いてきた

「あ、ヨーティア先生、おはようござヒィッ!?」

 その暗い声の主、ヨーティアに気付いたみかが挨拶する瞬間、その暗い表情をみて思わず悲鳴を上げてしまう

「ど、どーしたんですか?ヨーティア先生……」
「……校長先生、とめてください、とめてください、もっとちゃんと運転……ごめんなさい、すみません、だめ、死にます」

 教師達を代表してみかがヨーティアに声をかけてみるが、それに気付かないかのように妙な言葉を繰り返す さらに……

「ああ―――――――!おじいちゃんがおじいちゃんが!にぃ―――――――――げぇ―――――――――てぇ―――――――!!!!」

 突然の絶叫に教師一同ビクッと身を震わせる そして一同が揃いもそろって「昨日何があったんだろう……」とも思うのであった


「それがさぁ、車が発信して少ししたら校長が『前回、前々回に飽き足らず今回も人にテストの採点を押し付けるとは良い根性ですね』って言いだして……そして……」

 揺さぶったりほほを叩いたりしてみると、数分でヨーティアは復活した そして前日ヨーティアに何が起きたのか聞いてみることになったのだ
 そして簡潔に車の中で起きた事を言い終えると、また体が震えだして行く

「次の瞬間、気付いたら車の速度が40キロからいきなり130キロに上がっていたんだ 途中の信号は無視したのかどうなのかは記憶に無いね
 曲がり角を曲がる時もそんなにスピードダウンをしてないんだ そん時の横Gの恐ろしさは体験してみないと分からないと思うぞ」

 ヨーティアの言葉にその恐ろしさの片りんを理解できたのか、教師一同は思わず身震いをしてしまう
 だが、次の一言でその恐ろしさが飛散するのではなく、さらに増幅される結果となる

「まぁ、こんな経験こんな天才でしか体験できないのも事実だろうな!あっはっはっはっはっは!」
「ヨーティア先生……」
「はっ……!」

 自分が余計な一言を言ったのを今更ながらに気付いたヨーティア 周りを見ると恋人であるクェド・ギンを含めた他の教師達は自分の席に付き、各々の仕事を始めている
 ヨーティアは気付く 自分は見捨てられたのだ 自業自得とは言え、見捨ててほしくなかった、と思うヨーティアなのであった

 終わり


 久しぶりのおまけ

智「そういやヨーティア先生が校長の暴走行為に付き合わされたらしいな」
神谷「えぇ〜〜〜〜中間テストの予想みたいに嘘じゃないでしょうね!」
智「いやいや、これがホントなんだよ!よみや大阪やちよちゃんも校長の車の中にいたヨーティア先生を偶然見たしな」
神谷「……そんな早い車の中にいた人を見分けられるなんて、滝野さんは凄いですねぇ ……でもほんとなんですか?」
智「それを見たちよちゃんがコレ」
ちよ「ああ―――――――!おじいちゃんがおじいちゃんが!にぃ―――――――――げぇ―――――――――てぇ―――――――!!!!」
神谷「ち、ちよちゃん!?どうかしたんですか!?」
智「この前の夏休み、ゆかりちゃんが車で暴走した結果 昨日の校長と思いっきり展開が同じ」 
神谷「ちよちゃん、ちよちゃん!復活してください!」
ちよ「ああ―――――――!」

 終われ

 あとがき
 はい 少々予定を変更してテスト採点編です テストとなるとこー言うのも必要だと思い、上げてみました
 しかし校長って本当使いやすいわ この人書くのくせになりそう……(笑)

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