とうとう二学期の期末テストが始まった 二学期は体育祭や文化祭とテスト以外のイベントも多いので、テストの量を減らしてほしい、と言う人間もいるが、それは集中できない人間んの言い訳だろう
 ともかく、これが終われば一週間とちょっとで楽しい冬休みになるため、大半の生徒は集中モードだったりする

「あ、カワイ子ちゃんはっけぇ〜ん!」

 そんなテストの初日が終わり、帰る準備をしていたら、廊下から竹田のテスト中とは思えない発言が聞こえた

「竹田の奴、毎度毎度懲りないな……」
「それだけじゃないぞ、田中 あれを見ろ 相手は中等の子だ」

 かがみの言葉に隆史が目を凝らすと、思わず「あー」と呆れた声をあげてしまう あいつはいずれロリコンにもなるんじゃ……と思ったりもする

「ねえねえ、キミなんか用なの?この僕の力は必要かい?」
「あはは!竹田さんってばおっかしー!」
「? 竹田の知り合いか?」
「隆史、どうやら今回はみんなして彼に担がれたんじゃあ……」
「そーみたいね」

 ちょっと悔しそうに隆史は廊下に出てみると、隆史たちの目には想像通りの女の子が現れる

「よぉ、田中ぁ、可愛い妹分の一人がお前に会いに来たぜぇ」
「みたいだな で、何の用だ、理央よ?金ならあんまり持ってないから貸せないぞ」
「あはは!竹田さんじゃないんだから〜」

 情け容赦のない一言で竹田をずっこけさせた中等の女の子は、鳴海理央と言い、隆史とは幼馴染で隆史の借りてるアパートの大家の娘だったりもする
 現在は演劇部に所属し、そこの部長(美少年)とお付き合いしていたりもする

「ちなみにフィーナも金を持ってるように見えるが、実のところ個人で持ってる金は多く無かったりする だから仁さんに担がれなくてもいずれはバイトをする事になっていた」
「えぇ!そーだったの!?」
「……ええ、そーよ」
「ともかく、なんの用だ?」
「あ、うん 部で調べたい事があって……たかちゃん、歴史と古文の教科書、ある?」
「ああ、あるが……まぁ、なくても泉の所いきゃ問題無かったがな」

 持っていたカバンの中から目的のモノを取りだし、ホイと手渡す そして理央が軽く中を見た後、お礼を言ってその場を去って行った

「隆史はお兄ちゃんねぇ……」
「田中はお兄ちゃんだねぇ……」
「ま、妹好きな部分は俺の方が上だったりするがな」
「朝霧、妙な所で張り合うなよ」
「?お前ら、人を本気でからかうみたいな酷い表情して、どーした?」
「まぁ、いーじゃんか!明日のテストは歴史と古文と英語だったなぁ〜 さっさと帰って勉強だ〜♪」

 そう言って竹田は鼻歌を歌って帰って行った

「隆史、帰りにうちに寄れや 可愛い妹分に免じて教科書貸すよ 俺はフィーナの使えばいいしな」
「? ああ、サンキュー! ……?」
「達哉、隆史はまだ分かってないわ」
「なぁ、田中 明日のテストの教科、なんなのか言ってみ?」
「何寝言言ってんだよ柊 そんなの歴史と古文と英語に決まって……」

 直後隆史の叫び声が校舎内に響き渡っていた ……そう、隆史は幼馴染の女の子に次の日テストする教科の教科書を貸してしまったのである!


お姫様の暴走学園生活 期末テスト 本番二年生サイド


 ともかく二学期の期末テストは、二学期の最後のイベントにて、カテリナ学園の生徒にとってはクリスマス及び冬休みを面白おかしく楽しく暮らすためには、絶対高得点を取らなければならないイベントである
 もちろんどの生徒もそれを重々理解しているため、皆一様に真剣な表情である 誰も冬休みの課題と同時に補修をやりたいなどと思う人間などいないからだ

「だぁぁぁ……古文終わったじぇぇ……」

 このままいくと自分の口から魂が出るんじゃないか?とみさおは自問自答したくなる
 
「日下部、復活しろ 次は英語だぞ〜」
「田中はテストだってのに元気だな……」
「今回ばかりはね……達哉やフィーナに教科書借りた以上、怠けるわけにもいかないさ」
「確かにそうだな……で、調子はどうだった?」
「ま、補修は回避できたさね それより峰岸はどうした」
「は?そこに……あれ?」

 言われて初めて気付いたのだろう みさおは近くに相棒と言うべきあやのがいない事に気付いた
 周りに目をやってみると、あやのが自分の席にいまだいる事に気付いたのである

「あやのさん、どーしたのかしら?」
「どーせテストが終わって寝てるんじゃないのか?」
「いや、それにしてはなんか違うよーな気もする 行くぞ」

 あやのの態度に少々不安になり、隆史たちは近くに行ってみることに
 隆史たちの目に映ったあやのの表情は、まさに茫然自失と言った感じで、テストの間に彼女がそんな顔をする訳ないと思ってただけに、不安になってしまう

「あやのぉ……どーしたんだってヴァよォ……」

 隆史たちの中でもみさおが一番不安なのだろう あやのの態度にちょっと涙目になっていたりする
 フィーナもぺチぺチとあやのの頬を優しく叩いていると、ようやくあやのに復活の兆しが見えてきた

「あ……みさちゃんにフィーナさん……朝霧君と田中君も、どーしたの?」
「どーしたのはこっちのセリフだ 今日はテストだってのに、大丈夫か?」
「……大丈夫じゃないかも……」
「え、ええぇぇえぇぇぇぇぇ……」

 あやのの絶望的なセリフに、みさおも思わず絶望的な叫びをあげる
 隆史たちも思わず心配そうに顔を会わせる

「ともかく、真面目にどーした?」
「あ……うん 古文ね……テストに出てきた問題の文章が凄くいいお話で……」
「ええ、今回の文章は結構いいお話だと私も思ったわ」
「なぁ、達哉、そー思ったか?」
「いや、それを感じる余裕は無かったな」

 あやのとフィーナの言葉に、男二人は訳が分からんと言いたげに二人の展開を見守る事にする

「それで文章を読みふけってたら、いつの間にか残り時間が5分になっちゃってて……」
「うわぁ……」

 あやのの言葉に、思わず驚きの声をあげてしまうフィーナ達である

「なぁ、一つ良いか?」

 そんな中一人やや冷静だった隆史が、あやのの前に立つ

「テストの問題は一応持ち帰れるんだしさぁ……テストが全部終わってから読めば良かったと思うんだけど……」
「隆史、それは言わないお約束と言う物よ」

 隆史の一言に、まさに「が――――――ん」と言わんばかりのオーラを纏ったあやの みさおと達哉は悪いと思いながらも、噴き出す事を我慢できないでいたのであった

 次回に続く

 あとがき
 とうとうテスト本番編です 相も変わらず妙な方向でグダグダな展開ですね
 今回のあやのの失敗は「アマガミ」と言うエンターブレインのゲームを参考にしました
 一応教師編でそのゲームのヒロインの名前は出してますからね 一応いつかは出したいと思ってます

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