テストの前から本番にかけてとなると、大抵の学校では生徒は部活動をやってはいけない、と言う法がある これはこのカテリナ学園でも当然ある
 もちろんすべての生徒がそれを守ってるわけではないが、大半の生徒はそれを守っている
 それが故にいろんなストレスをためてしまう人間も少なくない

「いや、根岸の場合何時も妙なストレスを抱えてるか」
「? 悠人君、誰に言ってるの?」
「いや、何でも無い」

 前回のテスト同様、クラス委員長レスティーナの家……もとい豪邸でテスト勉強をすることになった悠人と透夜と根岸の男三人(もちろんそれだけではない)
 途中までは普通の勉強ではあったが、途中で根岸が「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」と言う雄たけびを上げてぶっ倒れたのである

「とりあえずこいつは神谷にまかせよーぜ ……って空閑、どーしたい、二人を見続けて? いつも見てったろ?」
「え ……何でも無いの」

 根岸を神谷に任せて(押しつけてとも言う)透夜たちは元々いた部屋に戻ろうとした悠人達は、二人を見つめていた

(言えない言えない……神谷さんが羨ましいだなんて、言えない……私だって雨情さんと……)

 とりあえず空閑の願望は何時もの無表情で皆にばれることが無かった


 お姫様の暴走学園生活 期末テスト 準備一年生サイド


 改めて言うが、カテリナ学園ではテスト準備中、及び本番中は部活動をやってはいけない、と言う法がある
 しかし部室を使ってはいけないと言う法では無いため、一部生徒は勝手に部室を使っている人間がいたりする
 もちろん校長を始め、大半の教師はその事に気付いてるが、敢えて見て見ぬふりをしていたりする
 この日も剣道部を中心とした武道系の部活が使っている道場でも、素振りをしている声が聞こえているのである
 しかし……

「三人とも、止め!5分ほど休みましょう」
「「「はい!」」」

 ここを使っていたのは、先日雄たけびを上げてぶっ倒れた根岸とその友人二人である
 実の所三人とも武にかかわる部に入っているわけではないが、この日先輩の剣道部副部長ウルカと合気道部副部長葉月に道場の使用をお願いしたのである
 そうすると二人は笑顔で使用許可と共に、師匠役も買ってくれたのである
 もちろん理由としては、テスト勉強に備えての精神統一である

「はい、悠人さん」
「あ、ありがとうございます」

 恋人に飲み物を受け取ったは良いが、その恋人にタオルで顔の汗を拭かれて上手く飲めない悠人 その二人を見て、周りは思わず微笑ましい気分になる

「何て言うかさ、あの二人……模範的な夫婦って感じがするよねー」
「そうですね 二人を見てると心が休まります」
「ん」

 いつの間にか悠人達と一緒に練習に混ざっていた剣道部一年のアセリア・ブルースピリットも、二人に同意するように、コクコクと頭を何度も上下させる

「レスティーナ嬢も、エスペリアにいずれは自身のお付を解いて、悠人の妻に、と考えてるそうですし、これは将来が楽しみですね」
「へぇ……それは面白い事を聞いたね」
「ん」
「いや、それは良いんですけど……」

 女三人恋の話で姦しくしている所、透夜と根岸はちょっと不満げな表情になっている

「どうかなさいましたか?」
「いや、あのー……」
「なあ?」

 ウルカの至極真面目な顔に、透夜と根岸は言葉に詰まる 言葉こそ普段通りだが、邪魔をされてちょっと不満そうである

「こー言っちゃあなんですが、恋人連れ込んでるのは悠人だけじゃないんですけど……?」
「そうですよ……神谷や蘇芳(すおう)じゃ心は休まらないんですか?」

 二人の不満たらたらな言葉に、ウルカは少しだけ考えるそぶりを見せる
 その近くでは、その二人にちょっとだけ呆れてる両名の恋人の蘇芳佳澄美(かすみ)と神谷朝霞が控えてる

「二人とも、あれを……」
「あれ?」
「げ、エスペリア先輩何時の間に……!」

 ウルカの視線を追いかけて行くと、何時の間に持ってきたのか、幾つかのタッパーがあり、その中にある料理をエスペリアが次々と悠人の口に持っていく いわゆる「はいあーん」と言うものである
 あまりものあまあまな空間に、透夜と根岸は思わず何かを吐き出したくなる

「私としては、あれはかなり心休まる光景だと思うのですが……どう思います?」
「い、いえ……羨ましいのは事実ですが……」

 悠人とエスペリアが出す「ラブラブ空間」に、透夜と根岸が自身の恋人と今まで何をやってきたのか……思わず自問自答したくなってしまう

「ま、あたしたちの心を休ませたいならもうちょっと彼女とラブラブになるんだね 隆史と早苗さんだってあの二人ほどじゃないけどラブラブだよ?」
「ん」

 葉月の言葉に、またもやアセリアもこくこくと頷く

「なぁ根岸……」
「言うな……言いたいのは分かるが、言うな……」
「二人とも何やってんだ?続きやろうぜ〜!」

 もうちょっと彼女とラブラブになった方がいいのか……?と悩んでる二人に悠人のあまりにも普段通りすぎる声が響いていた

 その日の夜、透夜と根岸はそれぞれ自分の彼女と思いっきりイチャイチャするための努力をし、寝る直前一つの後悔をした
 何もテスト前の勉強の時間を割いてまで彼女とイチャつく必要無いじゃんか……と

((悠人のやつ、補修になりやがれ……ついでに隆史先輩と須尭先輩(副部長)も))

 偶然か必然か……透夜と根岸は一晩中そんな事を思っていたと言う
 隆史と雨情にとっては完全にハタ迷惑な事だと言うことに完全に気付いて無いのは……まぁ、どうでもいいことなのだろう

 次回に続く


 あとがき
 中間テスト同様二年の次は一年です しかしテスト勉強やらせなくてよかったのかなー?とちょっと後悔(苦笑)
 恋人同士としてのレベルが上がると、四六時中イチャついてもテストで良い点数を取れるんでしょう 多分ですけど(苦笑)

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