校長がバカな真似をしていた四人を説教していたその頃、他の大半の生徒は和気あいあいと昼食を楽しもうとしてるところだった

「た、隆史……それ、凄いわね……自分で作ったの?」
「な訳ねーだろ 愛妻弁当だ どーよ」
「……っ!凄いわね……!」

 隆史が開いた二重に分かれた弁当箱の中身に一緒にいたフィーナ達は、驚きの声を上げる
 ポテトサラダにタコサンウィンナー、卵焼きなど体育祭のお約束と言うべきものが多く詰まっていた

「んで、お前らは?夫婦で一緒んなって作ったのか?」
「え?いや、その……」
「ちっ、ミア特製か……」
「隆史、あんま期待するな」

 フィーナと達哉のお弁当の中身の豪勢さに、期待した物じゃなくてあからさまに残念そうな表情をしていた


 お姫様の暴走学園生活 体育祭編 本番後編


「まぁ、無事昼食も終わったし、午後も気合入れて行きますか!」
「フィーナ、気合入ってるな」
「そりゃあそうよ!ここでしっかり全力を出せば私たちが学年一位を取れるのよ!」
「ま、少しは見習いますか 最初は全員参加の綱引きだしな」

 恋人の表情に、達哉の表情も自然と引き締まっていく ……しかし

「……それより達哉、隆史、雨情」
「どーした、フィーナ」
「綱を引く時、なんでオーエスって言うの?」
「……そーいや、そーだな」
「確かにな」
「あれ? あれ?」

 全員参加の綱引きは、フィーナの一言で混乱した三人のせいで負けてしまったとさ


「さて、とうとう最終競技ね!さあ、あやのさん!その内容を教えて!」

 ふっふっふっふ……と不敵な笑みを浮かべたフィーナは、お姫様な表情であやのに聞く

「全員参加のリレーよ それより、昨日走る順番を決めたじゃない」
「ふふっ こういうのは気分の問題よ」
「気分の問題かどうかは分からんが、気合は入るな ……達哉」
「?どうした?」

 なんだかんだと和気あいあいな雰囲気を醸し出しているが、皆それなりに気合が入った表情をしている
 その中で第一走者の隆史がトラックに向かいつつ後ろを向いた

「とりあえず最下位だけは免れる ……次は頼む」
「おう!」

 そういって今度は後ろを向かずにゆっくり歩いていく ……しかし

「確かに態度はカッコいいが、セリフだけはちょっと間抜けね」
「自分の能力をちゃんと理解してる分竹田よりましだよ」

 トラックにある自分のレーンに立った隆史を眺めながら、達哉とフィーナは少々憮然とした表情でコメントした
 それはともかく、開始のピストルが鳴り、隆史は駈け出していく
 その動きは最初の自虐的なセリフとは裏腹に軽快な物である
 そしてバトンは三学年15クラスの中でちょうど真ん中あたりの順位で達哉に渡り、さらに雨情やあやの、かがみなど、次々とつながっていく
 そんなこんなで順位を着々と上げ、とうとう三位の順位でアンカー……フィーナの手にバトンが渡されたのである

「とうとうアンカーか……勝てると良いんだが」
「怪我さえしなきゃ……怪我さえしなきゃ……」

 勝利に対する不安を述べる隆史の隣で、達哉は至極恋人らしい不安を吐露していたりする
 フィーナの方は、この日の為に鍛錬の成果を現すようなきれいなフォームで駆けて行く
 そんな中mいつの間にか、前に走っていた一年の榊、及び神楽と横並びになり、一位争いが微妙になる
 そして……ゴールのテープが切られた 実行委員によると、判定は写真に頼ることになるらしい

「さて、どーなる……?」
「……勝てなくても良いよ!フィーナが無事だったし!」
「お前……まぁ、いいや 気持ちは分かるし」

 達哉の言葉にちょっとあきれ顔だった隆史は、隣に妙な雰囲気を感じたのでそこを見てみると……

「私はブルマに体操服を入れてるフィーナ姫の勝ちだと思います」
「いやいや、木村先生 体操服を入れて無い榊に決まってるじゃないですか」
「いやいや、ソーマ先生 こればっかりは譲れませんよ」
「何故この変態達がここにいるんだ…?」
「つーか神楽とか言う奴はスルーか?」

 隆史や達哉の疑問に答える間もなく、競技委員の結果発表が始まった

「競技の結果二年D組のフィーナ姫とします!二位は一年A組の榊さん!三位は一年C組の神楽さん!」

 発表の直後、生徒や教師たちから上がり、一位争いをしていた三人はそれぞれの健闘を称え会っていた
 しかし……

「ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」
「木村先生!何故あんたが喜ぶんですか!?つーかソーマ先生もそんなに残念そうにしないでください!」
「朝霧君でしたね……ここは私に任せてくれませんか?」

 クラスの代表として達哉が変態バカ教師二人を止めようとした時、後ろから校長が現れた
 そして二人を全力で殴った後、老人とは思えないほどの力で二人を引きずって言ったのである
 ともかく、小さなトラブルは多くあったものの、体育祭は無事終了したのである

 次回に続く


 あとがき
 ようやく体育祭編が終わりました! 次回は期末テスト編となります!
 しかし意外と教師陣営の活躍が多かった……(笑)
 体育祭編は校長が妙に使いやすかった気がしますが、多分気のせいでしょう(苦笑)

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