二学期の中間テストが終わると、このカテリナ学園は体育祭ムードに支配される
もちろん生徒の大半は自分のクラスで勝ちたいけど、自分が朝早く起きて走りこみする等の努力をすると言うのは嫌だと言う考えが主流だったりする
「でもね!こー考えると俄然やる気が出るのよ!……そう!ダイエットと考えれば!」
「菜月、そりゃお前だけだろ?つーかそーいうのは普段から気をつけとけよ」
婚約者のフィーナ・ファム・アーシュライトと幼馴染の高見沢菜月に朝早く叩き起こされた朝霧達哉は、寝ぼけ眼ながらもツッコミを入れることに成功する
「何を言ってるの?これから翠やかがみとも合流するんだから、達哉も気合入れていこーよー!」
「あら?かがみさんだけじゃなくて翠さんも呼んだのね」
「そうそう!隆史も呼んだんだけど、今日は早苗さんから仕事の手伝いを言いつけられたんだって」
「恋人がバイト先の上司ってのもある意味考え物だな……」
大きなあくびを隠さずに、達哉も一応会話に参加する その表情は雨情辺りも叩き起こせばと後悔していますと言った感じである
「それで、ルートはどうするの?」
「取り合えず公園の入り口で二人と合流する予定になってるの」
「姫様、とりあえずポットにスポーツドリンクを入れておきました!公園についたら皆さんと飲んでくださいね」
どんな小さなことでも全力で行く主義のフィーナはもはややる気前回なのだろう ミアからポットを受け取ると、気合入ってますと言いたげな表情になったりする
「まぁ、お兄ちゃんもフィーナさんも菜月ちゃんも頑張ってねー」
「麻衣…… 分かってると思うが、俺たちは死にに行くんじゃないからな?」
ミアや達哉共々フィーナに起こされた麻衣はミアと違っていい感じに適当な態度でハンカチをひらひらとさせて三人を見送ろうとしていたりするのであった
お姫様の暴走学園生活 体育祭編 準備
次の日に体育祭、という日の体育の時間、フィーナ達はその準備に追われていた
「ここでは文化祭と同じで体育祭も自分たちで準備するものなのねぇ」
小学校、中学校の時はそのようなイベントを自分たちで準備したことのないフィーナは、学校のイベントが起こるたびにこのように心から感心したような表情になる
のんびりほのぼのとしながらも、その表情はいい感じに真剣だったりする
「ってもこの今作ってる仮設テントの下にテーブルと椅子を置けば終わりなんだけどなー」
「それでも手抜きはできないわ やる以上は全力でやるべきよ!」
(あ……フィーナのやる気に妙なスイッチが入った)
正直そこまで気合入れる必要もないのになーと思ってしまう達哉と隆史である とりあえず空回りすることはないので放置の方向で行くことになるのだが
「それでも準備が終わったらとたんに暇になっちゃうんだよな……」
「文化祭に比べると準備はつまらないわね……」
「ぼやかないぼやかない」
心の底からつまらないと思ってるのだろう ぶつぶつと文句を言いだしたフィーナを達哉たちが宥めるが、その彼らも幾分かはフィーナに共感している部分はあったりもする
「暇なら菜月や柊とそこのトラックで軽く流せばいいだろ 今朝もやったんだろ?」
隆史の一言に、心の琴線を触れられたのだろう フィーナの瞳に炎っぽいものが宿っている
「なぁ達哉、俺なんかヤバいことでも言ったかな?」
「やばいことは言ってないが、フィーナの妙な闘争心に火をつけたのは事実だな」
やれやれだ……と言いたげに達哉は気合の入ってる婚約者を見やる 周りをよく見ると、そのフィーナに付き合おうと、かがみや菜月だけでなく、みさおやあやのまでトラックに近づいていっている
「雨情がいつの間にか消えてるが……どうする?」
「日下部はともかく峰岸まで行ってるんだ……スルーするのが友情なら付き合ってやるのも友情ってもんだと思うぞ、俺は」
慌てて戸惑っている達哉に答えると、隆史はあっさりとトラックに駆けていく
達哉も「そーだな」と呟くと、隆史を追いかけて行った
おまけ
「……?根岸 そんなところで何やってるんだ?」
部活の時間、雨情は美術部の机に顔を伏せてる根岸を見つけ、思わず声を掛けてしまう
「いや、明日体育祭じゃないっすか」
「……そーだな」
「なのになんかやる気が出ないんスよ」
根岸の言葉に、雨情は訳が分からない、という表情になってしまう
その時「ぐー」という妙な音が聞こえてくる
「根岸、お前……もしかして昼を食ってないだけじゃあ」
「先輩……よく分かりましたね 今日学食が混んでて……」
「……明日全然関係ないだろ……」
言ってはいけないと思いながらも、雨情は思わずツッコミを入れてしまうのであった
終わり
とりあえず始まりました体育祭編 ……なのですが、総量で言えば、文化祭やテストに比べるとかなり短くなるっぽい雰囲気ですね
しかし暴走させるならフィーナ一人だけでなくみんなをいい感じで暴走させた方が楽な気がしてきました