「ふっふっふっふ……」
「どうかしましたか?智ちゃん……点数がそんなに良かったのですか?」

 この日のテスト返却が終わり、彼女……滝野智が不敵な笑みを浮かべる所に、小学生にしか見えない小さな少女が近づいて行く
 実際彼女……美浜ちよの年齢は10歳であり、本来ならば小学校に通うべきなのだが、彼女は成績がよく、特別に高校で勉強している身の上である
 彼女が高校に編入された際に担任の谷崎ゆかりに「頭が良いからって苛めちゃだめだよ〜」などと言われたが、その可愛らしい容姿と周りに気を使う性格をもった彼女に、そんなバカなことをする輩が現れる筈もなく、ちよは楽しく高校生活を楽しんでいる
 まぁ、それはともかく

「そうなのだ!じゃじゃあぁぁぁ〜〜〜〜ん!数学が45点で、古文が50点なのだ!」
「え……」
「お前……調子が良くてその程度なのかよ……」

 智の点数の悪さに絶句するちよの後ろから、智の相方とも言える水原暦……通称よみが至極尤もなコメントを出す

「なにぉう!だったらよみは何点なんだよ!」
「どっちも85だよ つーかお前、その数学は思いっきり補修じゃないのか?」
「そういえば神谷さんに聞いたんですけど、風見さんと言う人とテストで勝負と言う事ですが、その点数で勝てるんですか?」

 よみとちよの一言に、智はギギギ……と調子の悪いロボットのように、顔をテストの方に向ける

「どどど、どーしよ、どーしよ、どーしよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「滝野さ〜ん!風見君が来ましたよ〜」

 正に噂をすれば影とも言うべきか 数日前に、智がテストの勝負を挑んだ当の風見透夜が神谷に引き連れられ、現れたのである


  お姫様の暴走学園生活 テスト編 結果一年生SIDE

「で、風見君はどうだったんですか?」
「えーっと……国語が88に英語が84……生物が72に日本史が77だ 英語は谷崎先生だからもう少し行けると思ったんだが」
「……嘘……」
「嘘じゃねえ」

 信じられないと言わんばかりの智に、透夜は四枚のテスト用紙をヒラヒラと智に見せる
 それをひったくり、点数を見て見ると、透夜の言ったとおりの点数が乗ってある

「準優勝〜〜〜〜〜〜〜!」
「は?」
「だから違うっての!」

 いきなり叫びだした智に、透夜は訳が分からんと言わんばかりの表情をし、よみは何時ものことと思いながらもツッコミを入れる

「だから順優勝なの!準!優!勝!」
「なぁ、美浜さん……あれ、何だ?」
「智ちゃんはいつもあんな感じですよ」
「……そうか んで、準優勝なお前の点数を見せてもらおうか」

 ホレよこせと言いたげに透夜は智の前に手を出す
 その智は渋々とした態度でこの日のテストを差し出す
 そして透夜はその用紙を見て行くが、とある一点でその視線を釘ずけにする

「なぁ、水原……この保体の100点って何?」
「は?何行ってんだ?智が100点取ったって……」
「見ろよ これだけ妙に点数がいいんだよ」
「ホントだ……」
「「本当ですね……」」
「あぁ、それだけならちよちゃんにも勝てると思って」

 智の言葉に、よみは思わず「確かに智がちよちゃんに勝つにはこれしか無いわな」と思ってしまい、ちよちゃんに顔を向けるが……

(あ……ちよちゃんがマジで悔しそう……)

 思わずよみはちよの保健体育のテストを見ると、そこには92点と言う文字が現れる 恐らく他の教科も似たような成績なのだろう、とよみは思ったが
 もちろんそのちよに負けてる自分が悔しくないと言えば嘘になるのだが

「で?数学45で古文50、保体が満点なら残りの英語はどーなんだ?」
「あっはっは〜保体しか勉強しなかったお陰で37だ〜」

 その時、ちよの表情は思いっきり勝ち誇って、智をバカにしたような表情になる

「お!?なんだ?このガキ!やるかぁ〜?」
「滝野」

 ちよに詰め寄ろうとした智の後ろから、透夜の言葉が引きとめる

「この調子だと、今回のテスト、俺の勝ちだな」
「……あ……」

 そう テストの結果が出て、テストの合計点が悪かった方はチーズバーガーセットを奢る約束をしていたのである

「そうだな ついでだからあたしも奢ってもらおうか いつもノートを見せてんのにこの点数じゃな」
「この際だ 美術部や吹奏楽部の連中も誘っていくか」
「え……もしかして、みんなにおごんなきゃダメなの……?」
「流石にそれはない だが俺の彼女には奢ってもらうぜ〜♪」

 んじゃ、誘ってくるな〜と楽しそうに教室を出て行く透夜である
 その音を聞きながら智は……

「ちっくしょぉ〜〜〜〜!」

 と叫ぶしか方法はなかったのである


 おまけ
空閑「そういえば、委員長は成績どうだったの?」
レスティーナ「え? えーっと……」
根岸「ダメだったのか?」
レスティーナ「生物と保体が補修……」
根岸「生物はともかく保体が補修って……」
レスティーナ「どどど、どーしよどーしよどーしよぉ!こんなんじゃエスペリアに怒られちゃうよぉ!」
空閑「そういえばエスペリア先輩はかなり成績が良かったって話だものね」
根岸「それより、アレ何とかするべきだろ」
レスティーナ「あれって?」
悠人「レスティーナ……」
レスティーナ「ゆゆゆ、悠人君?」
空閑「何か背中から凄いオーラが出てるけど……」
悠人「ハリオン先輩はともかく、エスペリア先輩に迷惑をかけるたぁどーゆーこったぁ!」
レスティーナ「ご、ごめんなさい〜!」
空閑「あーあ……委員長が逃げちゃった……」
根岸「ま、エスペリア先輩にぞっこんなあいつを怒らせちゃあ、な すぐに捕まるだろうけど」
空閑「そういえば根岸ちゃんはどうだったの?」
根岸「ま、とりあえず補修は無しだったな 風見の言うとおり、英語と国語はかなり良かったぞ」
空閑「まぁ、鈴木先生と谷崎先生ですものね」

終わり

 あとがき
 と言う訳で今回でテスト編は終了です どーだったでしょうか?
 漫画版あずまんがであったエピソードをある程度使った結果になりましたが、まぁ智らしさを出すにはこれが一番いいと思ったので(笑)
 しかし空閑の喋り方はやや自信が無いです DVD借りてもう一回見るべきか……?

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