「根岸君、根岸君!ちょっと良いですか!?」

  最初のテストが始まるまであと数分、と言う所にこの一年B組に一年D組の彼女……神谷朝霞が現れた そして彼女の恋人である根岸大地の所に小走りで駆け寄って行く

「どうした、神谷」
「実は根岸君の所の英語のテストに出てくる問題がわかったんですよ!」

 笑顔で……純粋に彼女は笑顔でほめて下さい!と言わんばかりに彼女は根岸に言う そしてその神谷の言葉にクラスの大半が彼女に視線を向ける
 
「……とりあえず言ってみろ」
「はい!100ページのあれとこれが出てくるんです!」

 彼女の言葉に、根岸はいつの間にか隣に現われていた透夜と目を合わせる
 その目はこれでもかと言わんばかりに「ホントかよ?」と言いたげである
 しかし他の(一部とはいえ)生徒はそこの確認に入る

「なぁ神谷……ここがでるってホントか?」
「ハイ!うちのクラスの滝野さんが言ってましたから本当です!」

 もうこれでもかと「どうですかエッヘン!」と言いたげに頷く神谷 その時テストが始まるチャイムが鳴り響く
 そしてテスト用紙が配られて本格的にテストを開始すると数分後……

「「「「出てねぇ!」」」」
(((やっぱりな……)))

 クラスの叫び声が響いていた

  お姫様の暴走学園生活 テスト編 本番一年生サイド

 「で、根岸はどうだった?」

 最初のテストが終わり、透夜は根岸にさっさと近づいていく

「どうもこうも……悪くはないと思うぞ……ってかお前、勉強しなくてもいいのか?」
「何言ってんだ、次はみか先生の国語だ 何もしなくても50点は取れるっての」
「お前、いくら何でもそこまで言うのは……」
「ちなみにオレに美術の才能はないから春日野先生でも吉野屋先生でもあまり関係無かったりする」
「……心底どうでもいい情報をありがとよ……」

 透夜にしては珍しい傍若無人な台詞に根岸も思わずため息をついてしまう

「しかしさっきの神谷はしょうがねぇよな」
「受け止め方によっちゃあ、素直ってことになるんだけどな……素直すぎるのも問題があるな」

 透夜の言葉に根岸は一時間前の神谷の姿を思い浮かべる
 もうこれでもかと言わんばかりに同じクラスの女子生徒の言葉を信じ切っている顔であったのは確かだ

「あのクラス、確か次が英語だったよね 次の休み時間、様子を見にいこっか!ねえねえ!悠人君も行くでしょ〜?」
「うーわ、こいつ思いっきり性格悪!」
「つか俺ら、返事をしてない気が」

 唐突に現われてとんでもない事を言い、返事がないのにあっさり悠人の所に行くクラス委員長・レスティーナに2人は流石に呆れはててしまう
 そんなこんなでこの日二つ目のテストが始まってしまっていた


「さてさて、何とか終わりましたな〜」
「で、お前の方はどうだったんだ?」
「俺?国語と英語は満点」

 この日すべてのテストが終わり、根岸が少し前に聞いたことを透夜の返事に、彼は二の句が告げなかった それはそうだろう つい数時間前に半分程度は〜と言っていた男が満点取れると言いだしたのだ

「いや〜思ったより簡単でさぁ……満点は流石に無いと思うけど、それでもそれなりの点数は取れるぞ」
「……まぁ鈴木先生に谷崎先生の作ったテストじゃな」
「そういやさ、あたし噂で聞いたんだけど」

 二人の話に割って入ったのは、朝に神谷に嘘情報を流した滝野智だった 後ろにはちょっと申し訳なさそうな神谷がいたりする

「ゆかりちゃんのテスト、実はラスク先生に作ってもらったんだって」
「「は?」」

 正に青天の霹靂と言わんばかりの話である そのため、透夜と根岸は思わず目を丸くしてしまう

「いや、いくら何でもそりゃないだろ? 流石に谷崎先生だからって……」
「あたしもそう思うけどさぁ 噂じゃあラスク先生が暇だってんで軽く作ったものをゆかりちゃんに横流ししたんだって」
「なるほど、今朝お前が言っていたテストの予想はラスク先生が作った問題の方だったんだな」
「うん、そうだよ」

 透夜の質問に思いっきり悪びれもせず智が答える その智の表情に透夜と根岸は思わず顔を見合わ、溜息をついてしまう

「な、なんだよ〜いーじゃんかよ〜 結局簡単だったんだしさ〜」
「じゃあ、今回の英語のテスト、どっちが上だったか……勝負しないか?負けた方はチーズバーガーセットで」
「応よ!返り討ちにしてやるぅ〜!」
「なあ神谷 滝野の成績ってそんなに凄いのか?」
「……え〜っと……」

 神谷の言葉に根岸はすべてを理解した 悪ノリこそするものの、他人の悪い所をはっきりと言う事の出来ない彼女が口ごもると言う事は……

「相当悪いんだな 素でそれなりの点を取るあいつが相手で大丈夫なのかね……?」
「そんなに風見君の成績っていいんですか?」
「今回はレスティーナの家にいるメイドさん達に色々教えてもらってたしな ……でだ」
「どっちか勝つか……ですか? 賭けにならないと思いますぅ」
「……だな」

 神谷の答えに「絶対勝ってやるかんな〜!」と透夜に啖呵を切っている智を見て、全てを理解してしまったように溜息をついてしまう根岸だった

 おわり

 あとがき
 今回出てるキャラが少なかったですね しかしテストやってると言う雰囲気は出せた……筈です
 今回の残りはあと結果編です 順位とかどうしよっかなぁ……(笑)

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