何だかんだで週が明け、とうとう(ある意味)生徒達の地獄とも言えるテストの日がやってきた
 生徒達はほのぼのとした雰囲気で過ごしているようにも見えるが、よく目を凝らして見るとピリピリとした雰囲気がわかる
 しかしそんな日でも遅刻する奴は遅刻するものである

「竹田、お前昨日はなにやってたのさ……一夜漬けか?」
「え?そんな訳ないだろ?昨日は隣の高校のミカコちゃんと……」

 隆史は大事なテストの日なのに遅刻してきたクラスメイト竹田のその理由を聞くと、たまたま隣にいた雨情と呆れたように目を合わせる

「お前、それで勉強はしたのか?前に隆史達が誘ったらしいが」
「勉強なんてする訳ないだろ?テストの成績なんてどうでもいいんだし」

 竹田のその言葉に隆史と雨情は再び目を合わせて盛大な溜息をついてしまう

「竹田 そんなんじゃ進学どころか進級すら危ないんじゃあ……」

 教科書を恋人フィーナと共に眺めつつ漠然と三人の会話を聞いていた達哉が入ってくる

「そうね 貴方が手を出す女性の中にテストの成績が悪い人はダメだと言う人はいないのかしら……」

 勿論それだけが全てじゃないのは分かってるんだけど……そうフィーナが追加しようとする前に、竹田は自分の席に着いてしまう

「隆史、彼は何故自分の席に着いて唐突に教科書を開き始めたのかしら?」
「多分昨日手を出した女の子にテスト期間にナンパしている無神経さを怒られたんだろ?まぁ、それが事実ならいい薬さね」

 果たしてその予想は事実であったと言う


   お姫様の暴走学園生活 テスト編 本番二年生サイド


「しっかしまぁ、テストの日は早く学校を出れて楽ですなぁ」

 この日最後のテストを終了し、隆史は体を思いっきり後ろに反らす

「それで田中君は今日の放課後はどうするのかにゃ〜?愛しい愛しい年上の恋人さんとデートですかな〜?」
「それは私も興味があるわ それで、どうするつもりなのかしら?」
「は?遠山はまだしもフィーナまで何言ってやがる」

 翠とフィーナの冷やかしの言葉に、隆史は「やれやれだぜ」と言わんばかりの盛大な溜息を吐く

「あさみだっているんだから、デートじゃないと思うぞ 正確には」

 隆史の言葉に二人はさらににやにやと意地の悪い笑顔を隆史に向ける

「それじゃあ、私たちもお邪魔していいのかしら?」
「いいけど、あさみ達の相手をしてもらうぞ それとそう言ってくれた以上、拒否権はないぜ?」

 隆史の言葉に二人は思わず「げ」と言う表情になってしまう

「謀ったわね隆史……冷やかした私たちも悪いんだけど」
「このテストの時期に子供の相手はきついよね ホント、冷やかした私たちも悪いんだけどね」
「ほら、グダグダ言ってねぇでとっとと行くぞ〜」


 フィーナ達が現在住む町満弦ヶ崎は、日本の中で今現在唯一月との定期船が出ている町であり、その空港とカテリナ学院の間には300人程の人間が訪れても閑散とした雰囲気を持つほど大きい公園があることでも有名であったりする
 そしてその公園には子供達が楽しく遊べる場所があったり、色とりどりの草花が植えられている花壇があったりと、子供連れのお母さんたちだけでなく近くに仕事場がある女性たちにも大好評だったりする

「それにしても三人には申し訳ないわ……こんな時期にあさみの相手をしてもらって」
「問題ないですよ 遠山もそうですが、達哉とフィーナは俺より成績がいいですから」
「だといいけど……それより隆史君?敬語はダメって言ってるでしょ?」

 クスクスと隆史をからかうように嗜める女性は隆史の恋人の笹川早苗だったりする
 二人はベンチに座ってるのに手をつなぐと言う恋人らしい(?)行動を行っていたりする

「それで、隆史君の調子はどうなの?」
「うん、今日の分は補修はないと思う 学年順位でいえばまだしたから見た方が早いとも思うけど」
「そう!良かったわ♪」

 隆史はその恋人の笑顔に照れくさくなり、早苗から視線を外す様に後ろを見ると……

「「「「……………ニヤソ」」」」

 そこにはあさみ達四人が2人をからかうような表情で笑っていた

「ブルータスッ!つーかフィーナぁ!お前もかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 数秒後隆史の絶叫がその公園の中に響き渡っていた


 おまけ

 この日のテストが終わってから数時間後……

「?おい竹田ぁ お前、どーしたんだ?」
「………」

 みさおが学校に忘れていた教科書を取りに来たら、誰もいないと思っていた教室に竹田がぼんやりと自分の席に座っていたのである

「あぁ……日下部か……」
「お前どーしたんだよ いつもならナンパに行ってたんじゃねぇのかよぉ!」

 そのみさおの言葉に竹田は持っていた携帯をみさおにわたす

『テスト期間にストーカーなんて最低!大っ嫌い!』

 思わずその中を見たみさおの目に飛び込んだのはこんな文面であった

「このメールが来て以来、メールの受付を拒否されてんだ……」
「ま、まぁ、これはお前が悪いよ」

 これ以外言う事が見つからなかったみさおは目的の教科書を回収すると逃げるように教室を出て行ったのである
 一体全体彼が何をやったのかは気になったが、敢えて何も聞かない方が賢明だと思いながら……

 終わり

 あとがき
 なんつーか、テストそのものは出て来なかったですね 私の学生時代の成績の悪さが露呈した結果となりました(泣)
 でも後悔はしていません
 しかし次は一年生サイド……どうなる事やら(笑)

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