テストと言うと、生徒が出された問題に答えてそれを百点、もしくは六十点と言う最大得点の中で何点取れたかを評価されるもの……そう考える人も多いだろう
 しかし当然のことながらそのテストは学校の教師が作るものであり、採点もその作った教師が行うものである
 そのテスト作成にも様々なドラマがあったりするものである

「「…………」」
「あの〜〜〜〜ゆかり?それにみか先生?」

 この日最後の授業を終え、ジャージをしっかり着こなす体育教師黒沢みなも(25)が職員室に戻ると、彼女の相棒と言える英語教師谷崎ゆかり(25)と年上の後輩である国語教師鈴木みか(27)が口をあんぐりと開けて放心している所を目撃してしまう

「どうしましたか?黒沢先生」
「あ、天原先生に松本先生……あの、ゆかり先生とみか先生が……」

 この二人の対処をどうしようか……そう悩んでる時に救世主が来た 保険医の天原ふゆき(26)と松本リンダ(28)が揃って現れたのである
 救世主もとい二人の保険医も、みなもの言葉にゆかりとみかの方を見てみる

「……あの〜ゆかり先生、みか先生、どうかなされましたか?」
「……ダメですね、口から出かかってる魂を元に戻さなきゃ」
「あ、あの、松本先生、口から魂って、えっと、確かにそんな感じはしますけど〜」

 正にご臨終と言わんばかりの松本の言葉に、みなもはどうリアクションをとればいいのか解らなかった


   お姫様の暴走学園生活 テスト編 教師たちの憂鬱


「あは、あははは、ご心配をおかけしました黒沢先生 あと天原先生と松本先生も」
「悪かったわね〜」

 苦笑いしながらも同僚兼親友に心配掛けたと三人に謝るみかにたいして、いい加減な態度で手をパタパタさせるゆかり ここのところは完全に人間性だろう

「それで、どうして口から魂を出すような状況になってたんだ? なんとなく予想は付くけどさ……」

 ぞんざいな態度で二人に聞くのは自称大天才の化学教師ヨーティア・リカリオン(30)である その後ろには彼女とはライバルであり恋人でもある数学教師グェド・ギン(31)が控えている

「そ、それが……徹夜でテストを作ってたんですけど、良いと思ったのが出来たんですけど……」
「なるほど、寝て起きて確認したら思ったより良くなかった訳だね ……で、谷崎先生は?」

 近くにいた生物教師桜庭ひかる(26)に煙草をもらいつつ、ヨーティアはゆかりに視線を向けると……彼女はあからさまに他の教師たちから視線を外す

「……なるほど 今日学年主任に言われるまでテスト用紙の作成を忘れていたわけだな」

 今までひと言も喋らなかったグェド・ギンの一言で、ゆかりは視線をそのままに頷く
 そんなゆかりに、いつもの事と思いながらも他の教師はため息を禁じ得ない
 その時だった

「谷崎先生、ちょっと良いですか?」

 まるで身長をゆうに2mを超えそうなグェド・ギンの後ろから現れたんじゃないかと、やや童顔の青年が現れる
 一目見ただけでは彼を私服で学校に来た学生にしか見えないが……

「?ラスク先生? どうかなされましたか?」
「これなんですが、見てくれますか?」

 ゆかりの言うとおり、ラスク・ロード(22)は一応ここの数学教師である つい前の年までこのカテリナ学園の大学部で学生をやっていた新任教師なのだが
 そのラスクから貰ったプリントを眺めると、ゆかりの表情が嬉しそうに歪む

「ラズグぜんぜい〜〜〜〜〜」
「学年主任にはそのまま出さないでください 一応それ見せちゃいましたから」
「はい〜〜〜〜〜〜〜〜」
「アンタも人が良いねぇ 無償でこんなことするんだから」
「というよりラスク先生……ゆかりをあまり甘やかさないでください……」

 からかうようなヨーティアと、言葉とはちょっと違い申し訳なさ全開のみなもに声をかけられたラスクは、少し意地の悪い表情で「こっちに」と首を向ける

「実はあれ、自分のやつがおもったより早く終わったもんでつい軽い気持ちで作っちゃたんですよ」
「んでそれをまた軽い気持ちで主任に見せたら思ったより好印象だったわけか あっはは!こりゃまた傑作だ!」
「だからそのまま主任に出すなっていったんですね……そのまま出したらゆかりの奴思いっきり弄ってやるんだから」

 数時間後、お約束と言わんばかりにそのラスクの造ったテストをそのまんま提出したゆかりは、ラスク共々学年主任と教頭に思いっきり叱られたとさ

 おしまい

 おまけ
 教師、と言っても万人から尊敬される人ばかりではなかったりする
 このカテリナ学園では生徒に意味も無く暴行を加える、などと言う人間はいない物の、いわゆる変人奇人にカテコライズされる人間もいる

「しかし木村先生」
「なんですか?ソーマ先生」
「女子高生と言うのは本当にいいモンですなぁ」
「そうですねぇ」

 テスト用紙を作りつつ、オッサン二人……古文教師木村(35)と物理教師ソーマ・ル・ソーマ(37)は教師にあるまじき会話を始めようとしている

「着替え見たいですねぇ」
「見たいですなぁ」
「おいそこのエロ二人 テスト問題作るかエロトークするかどっちかにしろ」

 ゆかりのツッコミもどこ吹く風と言わんばかりに二人の会話は暴走を続けるのであった

 意味ないまま終わり


 あとがき
 取りあえずテストと言えばやる人間だけじゃなく作る人間模様を描かなきゃダメか?と思って作ってみました
 キャラの後にあるカッコ内はこのSSにおける教師陣の年齢設定です これに出てる教師陣の年齢設定はあまり書かれてないので、私のオリジナルです
 しかしソーマのキャラは原作より変だなあ……まぁ原作永遠のアセリアじゃあ超ムカつく敵として出てきたんだから扱いを変えなきゃダメなのも事実なんですけどね(苦笑)

inserted by FC2 system