『あと三十分でカテリナ祭が終了します 繰り返します 後三十分でカテリナ祭は終了します 後夜祭に出る皆様は、準備を開始してください』

 放送部の声の中、隆史達二年C組は妙なオーラに包まれていた

「あー、うー、えー……っと……」

 フィーナは目の前にあるものに対して、どうコメントしたもんか……そう言いたげな声を出す
 カテリナ祭……文化祭はあと三十分で終わる為、客の姿はあまりない その為、フィーナ達もある程度自由に行動出来たりするのだが……

「あ、あはは……」
「ごめん……」
「まぁ、努力は認めるとは言っておく」

 笑ってごまかそうとするみさおと、謝るかがみ それに対して的確なツッこみを入れるのは雨情であった

「しかし、マイナスかけるマイナスはプラスにならんもんだな、流石に」
「そりゃ、お前、そんなもんだろ 料理に限らず、なんだって……」

 ハッキリきっかり言い切る隆史に、二人のうなだれる顔を見ながらどう対処しようかと達哉
 彼らの視線の先には、あからさまに失敗作と分かる料理の山であった
 とりあえず客も少なくなったため、作ってみようと思ったのだろう……フィーナはそう思う事にしておいた

「だけど、みさおさんはともかく、かがみさんは料理出来た筈だけど?」
「一応基本はね こんなんじゃ、つかさに任せっきりにするんじゃなかったわー」
「つかフィーナぁ!あたしはともかくってどーゆー意味だよぉ!そりゃ、あたしは料理出来ねーけどさぁー!」

 みさおの涙ながらの突っ込みはスルーして、フィーナは改めて目の前の料理に目を落とす

「お好み焼き、よね、確か……」
「一応、ね これぐらいなら峰岸達の力を借りなくても何とかなると思ったんだけど……」
「だけどさー」

 皆が料理の出すあからさまなマズいオーラにビビってなにも言えない所で、ついに隆史が決定的な一言を出す

「これ、誰が処理をするのよ?」

 食べるではなく、処理と表現するあたり、彼の性格を表しているのかもしれない


  お姫様の暴走学園生活 学園祭編 後夜祭 後片付け編


 結局料理はその場にいた皆で何とかした

「失敗作と分かればある程度何とかなるもんだな」
「確かに、まずくはなかったな 美味くも無かったけど」

 口々に取りあえずかがみとみさおの作ったものに対する感想を言う物の、気持ちは目の前の大きなキャンプファイアーと焼き肉に行っている

「それで、後夜祭のプログラムはどうなってるんだっけ?」
「えーっと……1年B組の風見透夜ってやつのピアノ演奏があるらしい」
「風見透夜……あぁ、風見君か」
「遠山知ってんの?」
「知ってるも何も、麻衣と同じく吹奏楽部のスーパールーキーなのだよ 朝霧君は麻衣と一緒にいるのをよく見るでしょ?」

 翠に言われ、達哉は学校での妹の行動を順に思い出していく そして「風見」という生徒に思い当たりがあったのだろう……「ふ……ふふふ……」と不気味な笑いを出していく

「風見透夜……妹は……麻衣は嫁に出さんぞ……」
「あー、えっと……風見君はちゃんと彼女が居るから、別に心配しなくていいよ……?」

 翠の言葉が聞こえなかったのだろう、達哉は相も変わらず不気味な笑い声をあげている

「まぁ、ともかく、一度聞いた方がいいと思ってたからね、この『透夜カンタービレ』は」
「てめぇ、遠山……ノリと流行りと勢いで妙なタイトル付けてんじゃねぇ」

 どこから出したのだろう……ハリセンを翠の頭にバシバシ叩きつつ隆史が呆れ口調でつぶやく
 その瞬間、光が現れ、その中に大きなグランドピアノが現れる 音楽室で見るピアノよりも大きく見えるのはご愛嬌……なのだろう
 そのピアノに向かって、一人の男子生徒が向かっていく その生徒が風見透夜なのだろう……と隆史は思う
 そして透夜がそのピアノを奏で始めて行く

「……って、ガイーヌの剣の舞?!風見君め……妙な選曲を……」

 翠はその激しい曲に、思わず頬をひきつらせる
 そんな翠の気持ちをよそに、曲は続いて行く 素人どころか、翠ですら失敗しているところを探すのが不可能な程完璧な曲調であり、聞く者を魅了していく

「もうそろそろ終わる訳だが……なぁ、皆……俺にはすっごく嫌な予感がするんだが、気のせいか?」

 肉を片手に雨情が近くにいたクラスメイトに呟く

「いや、たぶん嫌な予感を持つ必要がないんだが、風見と言う奴がこれから妙な選曲をするんじゃないかと思ってならん」
「雨情…… それは漫画の読み過ぎだから」

 そんなこんなで最初の曲が終り、二曲目に移っていき……

「確か……バッヘルベルのカノンかしら?曲順が無茶苦茶ね クラシック以外共通点が無いわ」
「まぁいーじゃない それよりフィーナさん?」
「? どうしたの?翠さん」
「始めての学園祭な訳だけど……楽しめた?」

 今や親友とも呼べる女の子の質問に、最初は驚いたものの、フィーナは満点の笑顔になり……

「ええ 楽しかったわ 正直来年の今の時期が楽しみだわ」

 と答えるのであった

 次回に続く


 おまけ

翠「でも、学園祭は自分達で作る分、片付けも自分達でやんなきゃダメなんだよねぇ」
フィーナ「そうね 自分達で作った以上、自分達で片付けなきゃダメね……」
隆史「そーいや雨情は?」
フィーナ「雨情は部活の片付けに行くって言ってたわ」
かがみ「大変よねぇ よかった私部活にはいんなくて」
達哉「いや そんなものぐさでいいのかよ」
隆史「やれやれだね」

 終われ

 あとがき
 はい 文化祭編これにて終了です ある程度文化祭的な展開はかけたつもりですが、書きたい内容の25%ぐらいは書けなかった気もします
 次からはテスト編です 今回の文化祭編同様、準備編→本番編→オチ編と言う順番で行こうと思っております
 更新は不定期なので、のんびりまってて下さいね〜
 しかし今回暴走したのはフィーナじゃなくて恋人の達哉っぽいな……(ぉ

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